
この記事はマイナンバーを持っていない海外移住者が海外送金を行う時の注意点や方法などについて筆者の経験をもとに解説した記事です。
2015年10月から始まったマイナンバー制度。
日本に住んでいる方にはマイナンバーという番号が付与されていますが、筆者のように海外移住者にはこのマイナンバーはありません。
マイナンバーがないと海外移住生活で何か不都合があるのでしょうか?
じつは、マイナンバーがないと海外送金や口座の新規開設ができないのです。
今回はマイナンバーに関して、海外移住者にとっての問題点と対策、そしてこれから海外移住をされる方の対応を筆者の体験をもとに解説していきます。
この記事を読んでいただけると、海外移住生活においてのマイナンバー制度の問題点が理解できます。
特に、海外送金についての問題と対策がわかりますので、海外移住生活での資産運用のヒントになると思います。
これから海外移住を考えている方はもちろん、すでに移住生活をしている方にも、ぜひ読んでいただきたい記事です。
海外で移住生活において、生活費などを日本の口座から送金するという事、よくありますよね?
送金するのなら、手数料が少なく、両替レートもよい送金方法を使いたい!
そんな方向けに海外送金の方法をまとめて紹介します。
バリ島への海外送金おススメの方法とは?
目次
マイナンバーがないと海外送金ができないって本当?

マイナンバーがないと口座開設や海外送金といった金融サービスが受けられなくなります。
ここでは、その理由と対策について紹介します。
マイナンバーがないとできなくなる事
一般的にマイナンバーがなくてできなくなることは以下の2点です。
- 新たに銀行口座を作る事
- 海外の銀行口座に送金すること
なぜ、できなくなるのでしょうか?
そもそも、口座開設や海外送金と言った金融サービスは国内居住者向けのサービス。
つまり、日本国籍を持っていても、海外に居住する人は金融サービスは受けられない決まりになっています。
マイナンバーは日本国内に住民票がある国内居住者すべてに割り当てられた管理番号であり、住民票があればマイナンバーは必ずあるはず。
つまり、マイナンバーがないという事は、国内居住者ではないとされ金融サービスが受けられなくなってしまいます。
厳密にいうと、マイナンバーがない時点で国内金融機関の口座も凍結されてしまうのです。
しかし、一律にこのようなルールを当てはめると不都合が出てきます。
例えば、会社の命令で海外に長期出向するサラリーマン。
長期出向となるとマイナンバーがなくなり、口座が凍結されてしまいます。
これでは困りますよね。
ですので、マイナンバーがなくても口座凍結と言った措置は(現時点では)取られていません。
ただし、上記に挙げた「口座の開設」「海外送金」の2点についてはできなくなります。
実は、先日私も楽天銀行の口座を開設しようとしたんです。
住所は日本にある実家の住所を登録し、身分証明書も免許証をスキャンして送りました。
ところが、最後になってマイナンバーカードもしくは通知書をスキャンして送れとなり、そこで口座開設は断念しました。
金融サービスが受けられなくなる事への対策
さて、マイナンバーがないと口座開設と海外送金ができなくなりますが、この対策はちゃんとあります。
口座はマイナンバーがあるうちに作る
金融口座はマイナンバーがあるうちに作ってしまえばいいのです。
これから海外移住をされる方は住民票を抜く前に。
現在海外移住されている方は、日本一時帰国時に住民票を入れて、マイナンバーを取得してから。
口座を作った後、マイナンバーがなくなっても、その口座が使えなくなることはありませんので、ご安心ください。
金融機関によってはマイナンバーがなくても口座開設ができる
マイナンバーによる口座開設の拒否は法的な拘束力はないそうです。
そのため、金融機関によっては、マイナンバーがなくても口座を作ってくれるところがあります。
ただし、今後法的な拘束力が出てきたり、金融機関の方針が転換することもありますので、なるべく早めに口座は作っておいた方がいいでしょう。
海外送金は人に頼もう
国内のほぼすべての金融機関は、マイナンバーがないと海外送金ができません。
これは、マネーロンダリング防止という観点から、ほぼすべての金融機関がそのような対応をしています。
例えば、日本にある自分の口座から、バリ島にある自分の口座にお金を移すとき、マイナンバーがないと、口座移動ができません。
しょうがないので、日本在住の家族や知人に頼みましょう。
家族や知人の口座にお金を移し、そこから海外にある自分の口座に送金してもらいましょう。
ただし、Wise(旧トランスファーワイズ)については、海外移住でマイナンバーがない方については、海外移住を証明するもの(住所が載っている書類など)を提示すれば、マイナンバーがなくても海外送金ができます。
マイナンバーがなくても海外送金ができるWise(旧トランスファーワイズ)の詳細はこちらをご覧ください。
Wiseを使った海外送金について
この章のまとめ
- 海外移住者はマイナンバーがない
- これから海外移住する方も住民票を抜くとマイナンバーが失効する
- マイナンバーがないと口座開設や海外送金ができない
- マイナンバーがあるうちに口座開設はしておこう
- 海外送金はTransferWiseならマイナンバーがなくても可能
ところでマイナンバーって何?

日本国内に居住されている方ならマイナンバーはご存知かと思いますが、私のように長年海外に住んでいる人はマイナンバーについてよく知りません。
ここでは、そんな方のために簡単にマイナンバーについてご紹介します。
マイナンバーとは?
マイナンバーとは、日本国内に住民票を持つ人すべてに付与される12桁の管理ナンバーです。
住民票がある方なら、外国籍の方にも付与されます。
このマイナンバーは、社会保障、税、災害対策の3分野で複数の機関にある情報が同一人物の物であるという事を確認するために使われているそうです。
税金や社会保障などの申請時などにこのマイナンバーを記載することがありますが、個人的には「何のために?」といった感覚が強いと思います。
さて、このマイナンバーですが、制度ができたときの経緯から「通知カード」と「マイナンバーカード」の2種類があります。
資料提供:マイナンバー制度について(内閣府)
通知カード(個人番号通知書)
通知カードは、紙製のカードで住民にマイナンバーをお知らせするものです。
引っ越しなどで住民票を移動したときなどに、移動先の地方自治体より簡易書留にて送られてきます。
住民票を入れてから、3種間程度以内に届くそうです。
この通知カードはマイナンバーをお知らせするためだけのものですので、身分証明書としては使用できません。
行政機関等でマイナンバーを聞かれたときに利用ができます。
このあと説明するマイナンバーカードを交付されるとき、カードと引き換えに返納しなくてはいけません。
資料提供:通知カードについて(内閣府)
この通知カードですが、2020年5月25日をもって廃止され、以降は個人番号通知書を送付するという事に変更になったそうです。
なんか、非常にややこしい話ですね~
<参考資料>
総務省・マイナンバー制度とマイナンバーカード・通知カード
マイナンバーカード
マイナンバーカードは、マイナンバーが記載された顔写真付きのICカードです。
このカードは、通知カードを受け取ったのち、申請をすると無料で作ってもらえます。
ただし、マイナンバーカードを作る際、通知カードは返納しなくてはいけません。
マイナンバーカードは、身分証明書として正式に使用することができます。
また、マイナンバーカードは申請により作成するので、必ず持っていなくてはいけないというものではありません。
通常、通知カードかマイナンバーカードどちらかを持っていることになっていますが、通知カードの受け取りを拒否している方もいらっしゃいますので、必ず持っていると限ったわけではありません。
資料提供:マイナンバーカードとは(内閣府)
この章のまとめ
- マイナンバーとは日本国内に居住するすべての方に付与される12桁の管理番号
- 社会保障、税、災害対策の際に各部署にあるデーターの統一を図るために使用する
- 通知カードとはマイナンバーを個人にお知らせする紙のカードで住民票を入れたら3週間程度で郵送されてくる
- マイナンバーカードは身分証明書にも使えるICチップ付きカードで申請により交付される
海外移住予定者のマイナンバーの取り扱い

マイナンバーは国内に住民票がある方に付与される番号ですので、海外に移住し住民票を抜いたら失効します。
海外への転出届を出した際に、マイナンバー失効手続きを行います。
通知カード、マイナンバーカードの返却は不要
マイナンバーが失効したら、通知カードもしくはマイナンバーカードは返却しなくてはいけないのでしょうか?
じつは、返却する必要はありません。
というのも、マイナンバーは生涯変わりません。
ですので、帰国しまた住民票を入れたときに、同じマイナンバーが付与されます。
そのため、マイナンバーが失効しても通知カードやマイナンバーカードは返却しなくてもいいそうです。
ただし、カードの裏面に「失効」のスタンプが押され、マイナンバーの証明としては使えなくなります。
失効したカードも使えるのか?
マイナンバーは生涯変わらず、通知カード、マイナンバーカードも返却されない。
という事は、海外移住しても口座開設や海外送金はできるのでは?
理論上はその通りです。
金融機関からマイナンバーを聞かれたら、失効していてもその番号を応えればいいのです。
また、金融機関はその番号が有効かどうか行政機関に問い合わせることができないのです。
ところが、そのため金融機関では、マイナンバーカードもしくは通知カードを見せるか、スキャンして送ってくださいと言ってきます。
そして、裏面に「失効」のスタンプがあるかどうかを調べるのです。
この章のまとめ
- マイナンバーは海外への転出届を出した時点で失効します
- マイナンバーは生涯同じ番号を使います
- そのためマイナンバーが失効しても通知カードなどは返却不要
- ただし、失効のスタンプが押されるので金融機関には使用できません
海外移住者のマイナンバー取得方法

2015年10月以前に海外移住してマイナンバーを持っていない方、一時帰国し住民票を入れたらマイナンバーは取得できます。
マイナンバー取得方法
マイナンバーを持っていない方でも、一時帰国をし住民票を入れればマイナンバーがもらえます。
3週間程度で通知カードが届くので、これで口座開設や海外送金が可能になります。
しかし、一時帰国期間が3週間以上ないと、マイナンバーは持てないと考えていいと思います。
※地方自治体によってはもっと早く通知カードが届くところもあるそうです。
マイナンバーカードですが、通知カードが届いてから申請をするので、3週間以上の滞在期間が必要となります。
ただし、マイナンバーカードは必ず持たなくてはいけないものではありません。
すでに過去マイナンバーを取得し、海外移住のために失効した人。
帰国し住民票を入れた時点で通知カード、マイナンバーカードの再発行手続きを取ることになります。
マイナンバーの番号自体は変わりませんが、カードには失効のスタンプが押してあるので、新しいカードを発行してもらう必要があります。
マイナンバー取得の必要性
ところで、マイナンバー取得の必要性はあるのでしょうか?
何度も説明しているように、マイナンバーがないと口座開設と海外送金ができません。
つまり、口座開設、海外送金をする必要がない方はマイナンバーを取る必要がないのです。
一時帰国で、すぐに海外に戻る方は、住民票を入れないでいいでしょう。
すぐに海外に戻る方に対しては、行政機関でも住民票は入れなくてよいと指導されます。
この章のまとめ
- マイナンバーがない方は帰国して住民票を入れたらマイナンバーがもらえる
- 通知カードが届くまで3週間程度かかるので短期帰国の場合は住民票を入れない方がいい
- 口座開設などでマイナンバーが必要な場合は3週間以上の帰国を計画しておくべき
海外移住者のマイナンバーまとめ

今回は海外移住のマイナンバーについて問題点や対策を紹介しました。
現在大きな問題点としては
・新たに銀行など金融機関の口座を作ることができない
・海外送金ができない
ということがあります。
ただし、例外の金融機関もありますので、そのようなところを利用して口座開設、海外送金をしていくことは可能です。
このマイナンバー制度ですが、今後各種証明書関係をマイナンバーカードと一体化していく方向のようです。
その一環として、国民健康保険証、運転免許証とマイナンバーカードに統合させる案が出ているそうです。
参考資料
>>マイナンバーカードと運転免許証一体化、26年実現へ
海外移住者は国民健康保険は脱退している方が多いのでそれほど問題にはなりません。
が、運転免許証や身分証明書としてマイナンバーカードが拡大していった場合、海外移住者はどう対応していったらいいのか?
ちょっと気になるポイントですよね。