
この記事はバリ島における外国人の不法就労(違法就労)について解説した記事です。
バリ島などインドネシア国内で外国人が労働し収益を得るには就労許可が必要で、許可がなければ違法就労とみなされます。
この基本を知らずに軽い気持ちで仕事をして違法就労としてトラブルになる事が無いように、これからバリ島で仕事をしようという方は最後まで記事をお読みください。
バリ島移住を考える日本人の中には、「現地で少し働ければ生活費の足しになる」「日本と同じ感覚で仕事ができるのでは」と考える方も少なくありません。
しかし、インドネシアでは外国人の就労に対する規制が非常に厳しく、本人に悪気がなくても 不法就労(違法就労) と判断されてしまうケースが多くあります。
実際、バリ島では「知らなかった」「違法だとは思わなかった」という理由で就労トラブルに巻き込まれる移住者が後を絶ちません。
インドネシアでは、外国人が働くためには就労内容に合ったビザと労働許可が必須です。
観光ビザや短期滞在ビザのまま収入を得る行為は原則として認められておらず、たとえ現地の知人に頼まれて手伝っただけであっても、不法就労とみなされる可能性があります。
また、一見すると問題なさそうに見える仕事でも、条件次第では違法になるケースがあり、その線引きは決して分かりやすいものではありません。
本記事では、バリ島移住希望者や長期滞在者に向けて、不法就労とは何かを基本から解説し、実際によくある不法就労の例、違法になる可能性が高い仕事、そして「やってはいけない仕事」と判断されやすいケースについて紹介します。
この記事は違法就労を勧めるものではなく、むしろ 知らずにルールを破ってしまうことを防ぐための注意喚起 が目的です。
この記事を読むことで、不法就労とは何か、どんな仕事が違法とみなされるかなどが理解でき、バリ島で安心して生活するために避けるべき行動や、トラブルを未然に防ぐための考え方が理解できるはずです。
これからバリ島に移住しようとしている方は、安全な移住生活を送るためにも、ぜひ最後まで記事をお読みください。
目次
違法就労(不法就労)とは

違法就労とは、許可を得ずに外国人が収入を得るための活動をする事です。
外国人がインドネシア国内で働くためには許可が必要で、その許可を得ずに就労したら違法就労になるということです。
外国人が働くために必要な許可とは
バリ島・インドネシアで外国人が働いて収入を得るためには労働許可が必要です。
また、インドネシアでは外国人の個人事業は許可されてはいません。
つまり、外国人が労働許可を取り就労するには、どこかの組織(会社など)に入り、その組織が労働許可(雇用許可)を取らなくてはいけないのです。
また、労働許可には労働者(雇用者)の勤務範囲と就労内容が明記されており、それ以外の場所で、記載されていること以外の労働をしたら就労違反となります。
つまり、労働許可を取れば、どこででも好きなことが自由にできるといったわけではないのです。
ちなみに、労働許可はVOAや観光ビザなどの短期滞在ビザで入国するものには出ません。
また、リタイアメントビザなど長期滞在ビザでも労働許可が取れないビザもあります。
労働許可取得が許可されているビザで入国しITAS(居住許可)を取る必要もあります。
日本の場合は残留許可が必要
参考までに日本における違法就労についても調べました。
違法(不法)就労とは、正規の残留資格を持たない外国人が行う収入を伴う活動。
不法就労とは? | 厚生労働省東京労働局
正規の残留資格を持つ外国人でも許可を受けずに与えられた在留資格以外の収入を得る活動。
バリ島ではITAS(居住許可)と労働許可が必要。また労働許可をとっても決められた地域、業務内容以外の場所、業務を行ったら違法就労となります。
バリ島の違法就労の一例

では、バリ島で見受けられる違法就労のケースを紹介します。
インストラクター
外国人でヨガやダイビング、サーフィンなどのインストラクターをやられている方がいます。
インストラクターは、きちんと労働許可(雇用許可)を取って行えば問題ありません。
しかし、中には許可を取らずに行っている外国人がおり、それは不法就労となります。
許可なしでインストラクターをやっている方は、ほとんどがフリーランス。
雇う方も、人手が足りない時、不法就労とわかっていても一時的に雇う事もあるそうです。
また、完全にフリーランスで、WebサイトやSNSでお客を集めている方もいると聞きました。
ツアーガイド・コーディネーター
旅行のコーディネイトをしたり、予約代行を行う業務をされている方の中にも違法就労の方がいます。
これら業務は、旅行業免許のある会社に就職して就労許可を得れば違法ではありません。
しかし、個人でやられている方は、ほとんどが就労許可を得ていないため不法就労になります。
SNSやWebサイトなどで知り合った人に、スパやアクティビティの紹介をして、手数料やコミッションを受け取る。
これも、労働とみなされますので、就労許可なしで行ったら、不法就労になります。
接客業
ウエイター、キャッシャー、店員、美容師、ネイリスト、セラピスト、調理師など、直接お客さんと接する接客業の中にも違法就労とされるものがあります。
基本的に、お客さんと接するような仕事は、なかなか外国人に就労許可は降りません。
このような仕事は、インドネシア人にやらせなさいという事です。
(きちんと許可を取って就労している外国人もいますので、すべての方が違法就労という訳ではありません)
ただし、これら職種でもスタッフを管理監督するマネージャーや技術をアドバイスするアドバイザーは外国人でも許可されています。
ただ、人手不足などにより、マネージャーやアドバイザー職の外国人が接客業務を行うと、違法就労にあたるので注意してください。
労働許可があっても不法就労になることがある
労働許可があれば、どんな仕事もできると勘違いされている方もいます。
ただし労働許可には、その人に許可された職種、職業が決められています。
その許可を逸脱した仕事は違法就労になります。
先ほどの接客業のところでも説明しましたが、外国人の職種は通常マネージャーかアドバイザーです。
その職種の方が、現場の仕事をしたら、許可条件を逸脱しているという事で不法就労になります。
実際、このようなケースで検挙された外国人もいますよ。
フリーランスの外国人インストラクターやガイドを雇うと、雇った方も罰せられます。経営者の方もご注意ください。
これは違法就労になるのか?

バリ島で仕事をするには、会社に就職し、就業許可を取ると説明しましたが、中には労働許可を取らずに収入を得ている人もいます。
法律の網をかいくぐったグレーゾーンであったり、法的に見逃してもらっているといった部分です。
実際、違法就労として検挙される例は少ないのですが、グレーゾーンで今後違法と判断されることもあるので、十分注意してください。
ノマドワーク
ノマドとは決まった作業所、事務所を持たず、好きな場所で仕事をするフリーランスです。
バリ島には多くのノマドワーカーがいますが、ほとんどの方は就労ビザは取っていません。
それでも大丈夫なのは、母国の仕事を、バリ島で行っているだけなので、違法就労には当たらないとなっています。
ただし、インドネシア国内で営業や受注、集客をしない事、そして収益は母国で受け取ることが条件と言われています。
現在は「ノマドビザ・E33G」というビザがあり、ノマドワーカーはこのビザを取得することが推奨されています。
ただし、ノマドビザ取得には年間6万ドル以上の収入の証明が必要で、ちょっと取得ハードルが高くなっています。
そのため、ノマドビザは取らず、VOAや短期観光ビザ(ソシアルビザ)などで滞在しているノマドワーカーも多くいます。
インドネシア人と共同経営
ビジネスパートナーのインドネシア人の名義でお店や会社を持つ方法です。
この方法は厳密にいうと違法行為ですが、現在はよほど問題にならない限り、見逃しているといった状況です。
ただし、外国人がそのお店で接客をしたり、何らかの業務を日常的に行っていると、違法就労で検挙ということがあります。
その為、お店や会社は完全に共同経営パートナーに任せて、たまにパートナーと打ち合わせをしたり、利益の一部を受け取るといったことしかできません。
結婚相手の事業の手伝い
インドネシア人と結婚した外国人がその結婚相手のビジネスを手伝う事は、慣例的に合法とされています。
例えば
パートナー名義のお店やカフェ、レストラン、お宿をパートナーと一緒に経営する
パートナーがカーチャーターガイドで外国人が集客用のWebサイトの管理をする
といったようなものです。
ただし、外国人が表立って仕事をしたり、給料をもらうといったことはできません。
あくまで、お手伝いをしているといったレベルの仕事になります。
法的にしっかりと保障されているわけではないので、変更になる可能性もあります。常に最新情報を得るようにしましょう。
違法就労をする人はビザはどうしているのか?

労働許可を取らずに仕事をしている人たちはどんなビザで滞在しているのでしょうか?
ほとんどの方はソシアル・ブダヤ・ビザ(B211Aビザ)を使っています。
ソシアルブダヤビザは、短期滞在ビザの一種なので最長で180日間しか滞在ができないビザ。
その為、半年ごとに外国に行ったり来たりしています。
短期滞在ビザについては以下のページで詳しく説明しています。
>>ソシアルビザなど短期滞在ビザの取得・延長方法
短期間に連続して何度もソシアルビザで入出国を繰り返すと、バリ島内で仕事をしているのではないかと疑われます。
それを回避するには、日本→バリ島だけを行き来するのではなく、日本→バリ島→タイ→バリ島→マレーシア→日本というように、数カ国を周遊してあげるといいでしょう。
また、学生ビザやリタイアメントビザなら、ITASが取れます。
しかし、これらビザでは労働許可は取れません。
これらビザでITASを取れば何度入出国しても怪しまれることはありませんが、労働許可がないので労働はできません。
それでも、リタイアメントビザで秘密裏にビジネスをやられている方も多いそうです。
結局、ビザが最大の問題点になります。やっぱり婚姻ビザが最強なんですね。といっても、偽装結婚はダメですよ。
バリ島の違法就労まとめ
今回はバリ島での不法就労について解説しました。
ざっくり言って、労働許可を取らずにバリ島内で仕事をするのは違法就労になります。
また、外国人に許可される仕事内容も限定的で、簡単に言うと接客業などの現場仕事はできません。
ただ、許可やビザを取らずに仕事ができてしまうので、違法とは知らずに仕事をしてしまう方も多くいます。
労働許可が無ければ仕事はできない、外国人は現場仕事はできないと覚えておき、不法行為で検挙なんてことにならないように気を付けてください。
特に、「観光ビザでも見つからなければ大丈夫」なんていって、労働許可を取らずに働かせているブラック企業もあります。
バリ島で仕事を探す場合も、ビザや労働許可はきちんととってくれるのか、は最初にしっかりと確認しましょう。
