
この記事を読むと、バリ島独自の自治組織「バンジャール」の仕組みや防犯面でのメリット、そして移住者が良好な関係を築くための具体的な手順といった事がわかります。
「海外での一人暮らしは防犯面が心配」「現地コミュニティとうまく付き合えるか不安」とお悩みの方は、この記事を読んで地域の強力なネットワークを味方につけ、シニア層のバリ島生活に『安心』と『安全』を実現しましょう。
バリ島に移住してまず驚くのが、警察以上に地域に根ざした「バンジャール」の存在感。
単なる近所付き合いの場ではなく、冠婚葬祭から地域の治安維持までを一手に担うこの組織は、実は私たち外国人移住者にとっても最大の守護神となります。
しかし、その付き合い方にはバリ島ならではのルールがあります。
例えば、活動を支えるための寄付金。
これは自分で直接バンジャールへ持っていくのではなく、一般的には大家さんを通じて納めるのがスムーズな流れ。
こうした「現場の作法」を知っているかどうかが、その後の生活の質を大きく左右します。
伝統的な警備隊「プチャラン(Pecalang)」に見守られ、地域の一員として安心して暮らすためにバンジャールとの賢い付き合い方のヒントを、実務的な視点で詳しく紐解いていきましょう。
目次
バリ島独自の自治組織「バンジャール」とは?
行政・宗教・警備を担う村の最小単位
バンジャールとは、バリ島独自の地域コミュニティで、日本で言うと町内会のような組織です。
バリ島の行政組織は、「バリ州」ー「県」ー「郡」ー「村」となっており、その村をさらに細分化した組織がバンジャールです。
バンジャールは、宗教行事や冠婚葬祭、地域の寺院などの管理、インフラの整備、そして地域警備なども行う生活共同体です。
このバンジャールの構成員は既婚の男性で、女性や子供、未婚の男性は構成員には含まれておりません。
警察とは違う「地域密着型」の強力な防犯機能
バリ島にも警察はありますが、日本の警察のように地域の巡回などを行い防犯に努めるといった機能はあまり充実していないように感じます。
事故や事件が起きれば警察も出動しますが、何もない日常に警察が巡回しているというのはあまり見たことがありません。
(交差点などで交通整理や違反者の検挙はしていますが)
そうなると、やはり頼りになるのがバンジャールです。
バンジャール内では、お互いが顔なじみ。だから見慣れない人がいるとすぐにわかってしまいます。
不審者がいれば、バンジャール内ですぐに情報共有がされ、そのことにより地域密着の防犯体制が築かれているのです。
外国人の長期滞在にはバンジャールの協力が不可欠
外国人が長期滞在する際、このバンジャールの協力が不可欠と言われています。
特に、ITAS(居住許可)の申請や延長手続きの際、ドミシリと呼ばれる、村発行の居住証明書が必要となります。
村発行と言いますが、実質はバンジャールが証明をし、それを村が承認するという形ですので、バンジャールとの間で問題を持つ外国人はこのドミシリを出してもらえず、結局その地区には住めなくなるということが起きます。
つまり、バンジャールを敵に回すと、住みづらくなるということですが、逆に外国人でもバンジャールと親密な関係を持てば、いろいろ便宜を図ってくれたり、味方になってくれるんです。
なぜバンジャールとの良好な関係が「最大の治安対策」になるのか
単身移住者やシニアを守る「地域の目」の力
日本の警察(お巡りさん)のように、担当地域を定期巡回して防犯に努めるという機能は、バリ島の警察では脆弱です。
事件や事故が起きてから初めて警察が動くので、防犯という面では警察はあまり頼りにならないと感じます。
そこで頼りになるのが、バンジャールです。
バンジャール組織は、自分たちの区域内の治安維持も重要や役割の一つ。
不審者が地域内に入ってきた場合や、うろついている場合、バンジャールによって動向がチェックされています。
このように「地域の目」により、多くの犯罪が防止され、また抑止力もあります。
単身移住者やシニア層の移住者にとって、底辺心強い組織と言えるでしょう。
伝統的警備隊「プチャラン(Pecalang)」による巡回と抑止力
プチャラン(Pecalang)とは、バンジャールの構成員によって組織される地域の自警団。
お寺のお祭りや冠婚葬祭の時に警備をしたり、交通整理をするのが主な仕事と思われいますが、地域の警察的な働きもします。
「バリ島の男たちは昼間から仕事もしないで、道端でしゃべくっている」
初めてバリ島に来られた方は、こんな感想を持つかもしれませんが、実は彼らがプチャランで、道端でしゃべくりながら道歩く人を見張っているんですね。
見たことにない人や不審者がいたら、すぐに情報共有をして事件につながらないように注意をしています。
プチャランがしっかりしているバンジャールは、犯罪抑止力が強力で治安が良いと言われているのです。
2002年と2005年にバリ島で自爆テロ事件がありましたが、以降発生していないのも、このプチャランの力によるものが大きいとも言われています。
トラブル発生時に警察よりも頼りになるケースとは
事故や事件が起きれば警察も出動して捜査や犯人検挙に動きます。
しかし、それは大きな事件だけで、小さな事故や事件ではなかなか動いてくれません。
そんな時に頼りになるのがバンジャールでプチャランなんです。
地域内で起きた事故や事件、トラブルを解決していくのもバンジャールの仕事。
実際、多くの事件もバンジャールの協力なしでは解決しなかったそうです。
なお、私(筆者)は2025年に散歩中にバイクと接触し大けがを負いましたが、その際にすぐに介抱し、大家さんに連絡を取ってくれたのもバンジャールの方々でした。
このように、地域のバンジャールと良好な関係があれば、何かあったとき助けてもらえるんですね。
失敗しない!バンジャールとの賢い付き合い方
【挨拶】入居時の挨拶回りと紹介者の重要性
バリ島に移住して、その地域に住み始めたら、なるべく早い時期にバンジャールに挨拶に行かれるといいでしょう。
特に、クパラ・バンジャールと呼ばれるバンジャール長のところにあいさつに行くことをお勧めします。
挨拶することにより、今後の移住生活でバンジャールを味方に付けることができるでしょう。
もっとも、ITAS(居住許可)を取る場合、バンジャールにドミシリ(居住証明)の発行をお願いしなくてはいけませんので、バンジャールへのあいさつは必須となると思います。
このバンジャールへの挨拶ですが、いきなり外国人が一人で行っても、変に警戒されると思います。
なので、まずは家の大家さんに相談し、できれば一緒に行ってもらったほうがいいです。
そうすれば、バンジャール側も警戒することはなく、また大家さんの顔を立てることになるでしょう。
ただ、最近多いのがいきなりビラを買ったり、土地を買ったりして住み始める外国人。
大家さんがいないので、バンジャール側も対応に苦慮していると思います。
こういう場合はバンジャール内に友人を作り、その方を通じてバンジャールと交流を持つのがいいかと思います。
【寄付金】「イウラン(Iuran)」
地域内のお寺のお祭りやお寺など公共施設の修理のお金、どこから出てくるんでしょう。
ほとんどがバンジャール内の分担金や寄付金で賄われます。
外国人の場合、バンジャール構成員にはなれませんので、分担金はありませんが、その分寄付金(Iuran・イウラン)をお願いされることがあります。
こんな時、寄付金を出すのを嫌がってはいけません。
その地区に住まわせてもらい、いろいろ協力してもらっているのですから、気持ちよく寄付金は出しましょう。
寄付金のお願いは、直接バンジャールから依頼されることもありますがたいていは大家さん経由で来ます。
この際、ごねると大家さんの立場も悪くなるので、なるべく協力するようにしましょう。
時々、外国人で「俺は関係ない」「自分はヒンドゥー教徒じゃない」といって寄付金を断る方がいます。
そうなると、バンジャールとの関係性も悪くなり、住みにくくなり結局その土地を離れるということもあります。
できる協力はしましょうね。
【行事】無理のない範囲での参加とコミュニケーション
お寺のお祭りや冠婚葬祭、特にガベンと呼ばれる火葬式はバンジャールの一大イベントです。
基本的にバンジャールの構成員ではない外国人がこれらの行事への参加を求められることは少ないでしょう。
でも、バンジャールと良好な関係があったり、長年の付き合いがあると、参加をお願いされることがあります。
こういう時は、喜んで参加させてもらいましょう。
ただし、中には宗教的な関係で、ヒンドゥー教徒でなくてはできないこともあります。
また、公共施設の補修など肉体労働をお願いされることもあります。
こんな場合は、申し訳ないが参加できませんので、その代わり寄付金などで協力しましょう。
【マナー】郷に入っては郷に従う、常識の違いへの配慮
バリ島に住み始めると、いろいろ戸惑うことが多くあります。
例えば、結婚式やお葬式の時、あるいはお寺のお祭りのときは道路が一時的に閉鎖されることがあります。
また、お祭りが近づくとバンジャールの集会場で夜遅くまでガムランの練習をすることもあります。
せっかく静かな環境を求めてバリ島に移住したのに、うるさくて眠れない!
なんて感じることもありますが、「郷に入れば郷に従え」と、我慢しましょう。
うるさい、邪魔だ、なんてクレーム入れたら、バンジャールから浮いてしまいます。
厄介者と思われたら、長くそこに住むことはできません。
実際、このようなトラブルで帰国した方、何人もいます。
その場所に住まわせてもらっているのだから、バンジャールの決めたことには従おう。
といった気持ちも大切なんですね。
【注意点】バンジャールでのトラブルを防ぐには
自分たちはよそ者で、そこに住まわせてもらっているから、ある程度の事は我慢しよう。
という気持ちを持つのは大切ですが、それでも我慢できないこともあります。
そんな時、直接バンジャール長のところにクレームを入れても、逆にトラブルとなることもあります。
では、どうしたらいいのか?
一番いいのは、途中にバリ島の方に入ってもらうことです。特に家の大家さんに協力してもらいましょう。
大家さんなら双方の立場や意見も理解してもらえるでしょう。
そしてうまく調整してくれることが期待できます。
このように直接クレームを入れるのではなく、途中にワンクッション入れるのがうまくいく秘訣だと思います。
あるある、バンジャールとのトラブル
協力要請や寄付金
バンジャールとのトラブルで多いのが、協力要請や寄付金です。
お寺のお祭りなどの行事の準備、バンジャール構成員なら準備の手伝いをしなくてはいけません。
しかし、私たち外国人はヒンドゥー教徒ではなく、逆に足手まといになったり、宗教的にできないこともあります。
そうなると、寄付金のお願いとなります。
以前聞いた話ですが、とある外国人がバンジャールから協力要請や寄付金のお願いをされましたが「俺はヒンドゥー教徒じゃない」といって一切の協力を拒んだそうです。
「金を払って、このヴィラに住んでやっているんだ。」というのがその方の言い分だったそうですが、結局バンジャールから浮いてしまいそこから出て行ったそうです。
騒音やごみ処理問題
最近多いのが騒音やごみ問題。
お祭りや宗教行事が近づくと、バンジャールの集会場でガムランの練習が夜遅くまで行われます。
ガムラン好きな方は「ただでガムランが聞けてラッキー」と思われるかもしれませんが、そうでない方は「うるさくて寝られない」となってしまいます。
しかし、これは文化的な話でうるさいからやめろというわけにはいきません。
ここは我慢しかないでしょう。
ごみの収集は村が行っております。
なので村やバンジャールとの関係が悪いと、わざとごみを持っていってくれないといった嫌がらせもあります。
これって、村や警察に行っても「バンジャールの問題だから」とまともに取り扱ってくれません。
このような日常生活に影響することもあるので、バンジャールとは仲良くする必要がありますね。
ドミシリの手数料問題
ITASやITAPの取得、延長の際、村発行のドミシリという居住証明書が必要になります。
これは、まずバンジャールに依頼して発行してもらいますが、この費用で揉めることがあります。
バリ州としては、ドミシリ発行は無料としていますが、実は手数料の名目でバンジャールや村がいくらか要求します。
一般的にはRp200.000からRp300.000程度ですが、バンジャールによっては、Rp1.000.000とかRp2.000.000ととんでもない金額を要求するところもあります。
このような、ドミシリ代が高いバンジャールは寄付金要請もかなり高額な要請をすることがあります。
ですので、住居選びの際は外国人に対するバンジャールの対応も重要な検討事項になります。
住もうと考えている地域に他に外国人は住んでいるか確認する。
住んでいたら、その方からバンジャールの対応について聞いてみる。
このようなことも受託選びに大切なことなんです。
まとめ:バンジャールはバリ島生活の「守護神」
バンジャールの現状を紹介してきましたが、特に若い方は驚かれたと思います。
でも、昔の日本の町内会もこんな感じでした。
都市部は違うかもしれませんが、私が生まれた地方都市の町内会はこんな感じでした。
ただ、現代でも昔の習わしが残っていることに違和感を感じる方もいるかもしれません。
わずらわしさを感じるかもしれません。
でも、このバンジャールがあるから、安心して生活ができているのです。
外から見ると、厳しく映るバンジャールですが、一度中に入ってしまうと、守られている感がして住み心地も良いのです。
バンジャールはバリ島移住生活の守護神のようなもの。
めんどくさがらず、良い関係を築いて安心してバリ島移住生活を送りましょう。
