バリ島で起業した方が、日本人従業員を雇用する場合、知っておきたい情報をシェアします。
バリ島での事業が拡大し、自分一人で対応するのが難しくなってくると、仕事を任せられる日本人従業員を雇用しようと考えます。
しかし、海外での雇用には法律や雇用方法、雇用条件など日本とは違った常識や習慣などがあるのです。
そして、それらを理解していないと良い人材が確保できないといった問題が起こるので、この記事を読んで最低限の知識を得ておきましょう。
雇用に関する最低限の知識を得たら、それを基に優秀な人材を確保し、事業の発展を目指しましょう。
今回は日本人従業員雇用についてのお話ですが、バリ島での起業全般については以下の記事で解説しています。
起業に興味のある方はぜひご覧ください
バリ島での起業ってカンタン?
目次
日本人従業員募集方法
日本のようにハローワークや求人情報誌がないバリ島では、インターネットや口コミが主な募集方法。
また、雇用条件についても、日本とは違った注意点があります。
募集はネットがメイン
日本人従業員の募集の中心はインターネットの求人サイト。
以下に主だった求人サイトを載せておきますので、それらを使って募集をかけてみましょう。
また、自社サイトがあるのでしたら、その中にスタッフ募集のページを作っておくのもいいでしょう。
その場合は「バリ島 従業員募集」というキーワードでしっかりとSEO施策をしておくことをおススメします。
雇用条件
雇用する方もされる方も気になるのが雇用条件。
バリ島での一般的な雇用条件を紹介しておきますので、これを基に検討ください。
- 最低賃金はRp6.000.000(約5万円)/月。業務ポジションによってはこの倍という事もある
- 就労ビザの取得は法律によって雇用側が負担することになっている
- 渡航費については会社規模により様々だが、最近は会社負担が増えている
- 休日は週休1.5日(土曜日半日)もしくは週休2日+インドネシアの祝日
- BPJS(インドネシア国民健康保険)加入は常識。企業保険加入の会社もあり
- ビザ取得に関連し、入社後1~2年以内の退社はペナルティとする会社が多い
- 残業手当支給は法律で決められているが、残業が多い会社は少ない
現地採用を念頭に募集する
日本人スタッフの採用というと、日本で募集・採用と考えがちですが、現地での採用の方が後々トラブルになりにくいです。
現地での採用という事は、求職者はすでにバリ島在住という事。
つまりバリ島の生活や風習、常識が日本とは違うという事を理解しています。
日本で採用した方は、このバリ島と日本の違いを理解していないため、生活できない、思っていたことと違うといったトラブルが起きやすいのです。
日本人従業員雇用の法的手続き
日本人など外国人を雇って働いてもらうには、外国人雇用許可(就労許可)や就労ビザ取得といった、法的手続きがあります。
ここでは、外国人を雇用するための手続きの流れを簡単に解説します。
この手続きに関してはエージェントに依頼して行う会社がほとんどで、経営者であるあなたが動く必要はありません。
ただしエージェントに依頼するには、それ相当の費用が掛かる事を承知しておいてください。
日本人が雇える会社設立が最低条件
日本人など外国人を雇うには、会社組織が必要です。しかも、PMA(外資会社)と呼ばれる大企業を設立しなくてはいけません。
PMAは、現在の法律では最低資本が約8000万円、設立準備金だけでも2000万円近い資金が必要です。
RPTKA(外国人雇用計画書)の策定・承認
外国人を雇う場合、まず最初にRPTKA(外国人雇用計画書)を作成します。
RPTKAとは、その企業が雇う外国人にどんな仕事をどのくらいの期間させるかを説明した計画書です。
この計画書はOSSというオンラインシステムによって労働省に提出し、承認を受けます。
その際、雇用主に外国人を雇う必要性などについて詰問(インタビュー)があります。
また、外国人1人につき、インドネシア人5名以上の雇用が必要で、必要数の従業員のレポートの提出も請求されます。
ノティフィカシの取得
ノティフィカシとは、以前IMTAと言われていた外国人労働者雇用許可(外国人労働許可=ワークパーミット)のことです。
RPTKAは、こんな仕事をさせるために外国人を何人雇いますよ、ということしか申請していないので、今度は具体的にこんな人を雇いますよという申請をします。
申請には、労働者の履歴書、労働経験の証明書、最終学歴の卒業証書などが必要です。
これら資料もオンラインで労働省に申請し、労働許可が下りたらノティフィカシィという労働許可が発行されます。
このノティフィカシィの有効期限は1年ですので、毎年取得しなくてはいけません。
DKP-TKAの支払い
DKP-TKA(外国人労働者雇用補償基金)とは、外国人を雇用するために雇用機会を失ったインドネシア人労働者のスキルアップのための補償基金です。
外国人労働者1名につき、年間$1200のお金を支払います。
このDKP-TKAも毎年支払う必要があります。
技術・知識を移転するインドネシア人の指名
外国人労働者を雇う目的は、その者が有する専門知識や技術をインドネシア人に移転するため。
そのため、その知識や技術を移転するインドネシア人を決め、移転教育の計画書を作成しなくてはいけません。
外国人労働者へのインドネシア語教育
以前、雇用する外国人労働者のインドネシア語語学テストを行うという話がありましたが、それは却下されました。
その代わり、各企業で外国人労働者へインドネシア語教育をするように指導されています。
外国人労働者のVISA、KITAS取得
最後に外国人労働者にワーキングビザ(就労ビザ)を取得させ、KITAS(暫時居住許可)を取らせなくてはいけません。
ビザやKITASは労働者がとるものという考えをお持ちの方も多いかと思いますが、インドネシアでは、それらは雇用者がとらせなくてはいけないと法律で決まっています。
日本人従業員の能力、適性を検討
日本人従業員を雇うためには法的手続きと費用が必要になります。
もし充分な能力を持っているインドネシア人スタッフが見つかったのであれば、そちらを雇用する方が給料の面でも、断然有利ですよね。
それでも日本人従業員を雇いたいというのであれば、それ相応の能力、適性を持った人を雇うべきです。
ですので、雇用にあたっては能力や適性の十分な見極めが大切になります。
必要な能力
面倒な手続きや費用をかけ、またインドネシア人より多額の給料を払うわけですから、日本人でなければできない仕事をやってもらう必要があります。
以前は、日本語ができればそれでOKと言われていましたが、バリ島では日本語ができるインドネシア人はいくらでも見つかります。
例えば、研修制度で何年か日本に出稼ぎに行っていた方など。
さらに、日本人とインドネシア人の間に生まれた2世など、ネイティブに近い日本語ができるインドネシア人は数多く見つかります。
日本人を雇うのなら、自分に代わって職場をまとめ、事業を推進してくれるくらいの能力の持ち主でないと、雇う意味がありません。
適正
もし、優秀な人材が見つかったとしても、海外生活、バリ島生活への適応力があるかどうかは大変重要です。
人気の観光地でインフラも徐々にではありますが整ってきたバリ島ですが、まだまだ生活の便利さは日本にかなり遅れを取っています。
また、自然環境も違うし、人間関係も変わってきます。
これまで日本で生活してきて、急に違う生活環境の場所に住めるかどうかも大変重要なポイントです。
実際、仕事についてはなんの問題もないが、生活環境や人間関係でバリ島に住めなくなり、日本に帰ったという事例はたくさんあります。
スタッフを雇う際には、能力と同時に適応力もしっかりと見極める必要があります。
まとめ
バリ島で日本人スタッフを雇う場合の常識などについてまとめてみました。
日本人スタッフを雇うには、まず外国人を雇用できる企業の設立が必要です。
そして、RPTKAなどの手続きを経て、スタッフの労働許可、ビザ、KITASを取得します。
多額の手続き費用や面倒な申請を行い、さらにインドネシア人の何倍かの給料を支払って雇用する日本人ですから、それに見合うだけの能力が必要です。
単に日本語ができるだけではなく、自分の代わりに職場をまとめ、事業を推進してくれる人材でなければもったいないですね。
そして、能力だけでなく、バリ島の生活や文化、人間に対応できる適正も必要です。
こんな難しい問題をクリアーしなければ、日本人スタッフを雇うことはできないということを、しっかりと考えていただきたいと思います。