この先、収入も増えそうもないな。
年金だけで生活するのは、まず無理!
それなら、物価の安い海外に移住しよう!
このように、海外、特にバリ島など東南アジアの国は日本に比べ物価が安いから移住しようと考える方がいます。
しかし、物価が安いからというだけで海外移住を決めると移住生活は失敗します。
その理由は
- 物価が安い分だけ生活レベルは下がる
- 海外移住ではビザ代など生活費以外の費用が掛かる
- 物価上昇により当初の計画がとん挫する
という事からなのです。
今回は、バリ島移住12年の私の経験を基に、物価の安さだけで海外移住を決める事の危険性について紹介します。
海外、特に東南アジアへの移住を考えられている方。
物価や生活費だけで移住を決めていたら、絶対に後悔します。
後悔しないためにも今回の記事をよく読んで、再度移住計画をしっかりと見つめなおしましょう。
物価が安い分だけ生活レベルが下がる
東南アジアは、確かに日本より物価は安い。
事実、私もバリ島でだいたい月に5万円ていどで生活しています。
私の一か月の生活費については、以下の記事で紹介していますので、時間があったら見てやってください。
しかし、物価が安い分だけ生活レベルは下がります。
ローカルレベルの食事
食事は基本的に自炊か、たまには外食です。
自炊といっても、日本でよく見るような食材は高くてあまり買えません。
もっぱら、昔からある地元さんの食材を使います。
また、外食といっても、ローカルの方がよく通う、ローカルワルン。
日本食やフレンチ、イタリアンといった外国の料理は月に1~2度程度です。
つまり、日本でよく食べていたような食事をしようと思ってら、生活費が跳ね上がります。
安い生活費で暮らそうと思ったら、ローカルレベルの食事が必要。
いや、バリ島の料理おいしいし、ローカルレベルの食事、問題ないでしょ?
なんて言われる方もいますが、旅行レベルで1~2週間ならローカルレベルでも大丈夫。
しかし、これが何か月も続くとなると、辛いですよ。
自分も移住当初はホームステイ先の家族が作ってくれる食事を食べていたんです。
しかし、3か月で飽きてきて、半年で蕁麻疹が出るようになりました。
どうも、ココナッツオイルの取りすぎが原因とのこと。
何十年も日本で暮らしてきた体に、ローカルレベルの食事は合わなかったようです。
贅沢な遊びはできない
バリ島にはいろいろなアクティビティがありますよね。
ビーチでサーフィンも楽しめますし、観光もいいでしょう。
ただし、それらは観光客向け。
下手したら、1日で1万円も飛んでいくこともあります。
それと、バリ島はお酒が高い。
自分はお酒は飲みませんが、ビールやお酒が好きな方は大変だとこぼしていました。
バリ島にはアラックという安い地酒もありますが、それでも毎晩晩酌というとそれなりに生活費も上がりますね。
お金がかからない遊びを見つけないと、生活できません。
電化製品、電子機器は日本より高い
冷蔵庫や洗濯機、掃除機といった家電製品。
ノートパソコン、スマートフォン、デジカメといった電子機器。
こういったものは日本の方が安いです。
時々、私もAmazonとか見て、安いなぁと羨ましく思います。
実は電化製品だけではなく、プラスティック製品や金属製品など、いわゆる工業製品はすごく高いのです。
人件費は安いのに、なぜでしょうね?
このように、日本と同じような食事、遊び、そして買い物をしていたら、あっという間に生活費はうなぎ上りになります。
物価は安いというのは、あくまでローカルレベルでのこと。
日本と同じような生活をしていたら、かえって高くつきます。
安い生活費で暮らそうと思ったら、ローカルと同じような生活レベルで暮らさなくてはいけませんよ。
生活費以外の出費がある
海外での移住生活設計をされると、ほとんどの方が、家賃、食費、遊興費、交通費程度しか計算しません。
しかし、実際にはこれ以外にもいろいろな出費があります。
これもちゃんと計算しないと移住生活はできません。
ビザ代や外国人登録代
海外で暮らすには、まず滞在するためのビザや居住許可(在留許可)が必要です。
このお金がバカになりません。
私は今、ワーキングビザで滞在していますが、このビザ代などに年間で約10万円かかっています。
ワーキングビザの場合、これ以外に年間米ドルで$1200の費用が掛かります。
私の場合、すべて会社が持ってくれますが、リタイアメントビザの場合は、個人が負担しますよね。
日本一時帰国代
たまには日本に一時帰国したいですよね。
このお金も結構かかりますよ。
バリ島の場合、直行便なら往復で10万円程度。
経由便なら6万円程度です。
他にも空港から自宅までの移動費も計算が必要です。
日本国内なら、安いバスを使うとか、自家用車で変えるということができますが、海外だと飛行機になります。
結構かかりますよね。
ですので、私は2年に一度程度しか帰国しておりません。
医療保険代
海外移住先では日本の健康保険は使えません。
また、インドネシアの健康保険もリタイアメントの方は使えないのです。
インドネシアの国民健康保険BPJSについては、以前書いた記事に詳しく説明してありますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。
インドネシアの国民健康保険BPJSは日本人にとって使える保険か?
そのため、海外での医療費はとても高いものになります。
しかし、病気や怪我をしたとき、病院に行かないわけにはいきません。
そこで、海外でも使える医療保険の加入をおススメしています。
といっても、この医療保険の保険料が高いのです。
自分は、移住してから米国系の医療保険に加入していますが、この払いは月に4,500円くらいかかります。
何とかねん出しています。
子供の教育費
リタイアメントの方は、もう子供は手を離れていると思いますが、若い方の移住は子供の教育費もかかります。
バリ島には授業料が安い公立の学校もありますが、これは外国人の子供は入れません。
また教育レベルも、日本などに比べ低いと言われています。
そうなると、インターナショナルスクールへの入学となります。
外国人在住者が多いバリ島、インターナショナルスクールは沢山ありますが、この授業料なども結構な負担になります。
もちろん、学校のレベルによって授業料っは違いますが、超有名なグリーンスクールで年間200万円かかるそうです。
そこまで行かなくても、数十万円レベルは、覚悟しておく必要がありそうですね。
このように、生活費以外にも色々な費用が発生します。
日本に居たら、ビザ代はかかりませんし、医療保険費や公立学校の教育費もぐっと安くすみます。
このような生活費以外のお金もちゃんと考えておきましょう。
物価上昇による計画のとん挫
物価が安いと聞いて移住したけど、あっという間に物価が上がり生活できなくなった。
こんな話はよく聞きます。
物価上昇により、もう生活できないと帰国した人もいるんですよ。
物価が安い発展途上国は確実に物価が上がる
物価が安い国というのはまず間違いなく発展途上国。
昔の日本がそうだったように、発展途上国は間違いなく成長期を迎えると物価が上昇します。
日本でも、高度成長期を経て、物価が一気に上がりましたよね。
これが、東南アジアの国々で起きているのです。
12年前に比べ倍以上の物価上昇
私が移住してきた12年前に比べ、バラツキはありますが、平均して物価は2倍以上になったと思います。
例えば、ガソリンも以前はRp4,000程度でしたが、今はRp8,000位。
ナシジンゴという小さなお弁当も以前はRp2,000でしたが、今はRp5,000です。
このように、バリ島でも物価は倍以上になっているんですよ。
現地で働いて給料をもらう人は、その分給料も上がるのでまだいいのですが、年金や貯金で暮らしているリタイアメントの方は大変ですよね。
このように、物価が安い国は将来確実に物価が上昇します。
過去、物価上昇により移住生活が維持できず帰国していった人が何人もいるんですよ。
物価は必ず上がるものとして、余裕のある生活設計が必要です。
海外移住を検討している方へ
物価が安いから海外に移住しようと考えている方へ
単純に食費や家賃だけ考えたらバリ島など東南アジアの国々の方が安いでしょう。
しかし、ビザ代や保険代、教育費なども含めてみると、意外と日本の生活の方が安いことがあります。
また、言葉の問題や生活環境などの面で、日本にいた方がずっと快適という事もあるかと思います。
それでも海外に移住したいという方。
必ず、しっかりとした生活設計を持ってください。
特に、物価上昇への対策はしっかりと考えていた方がいいですよ。
貯金や年金だけでなく、別な収入源も確保した方がいいです。
そして、なぜ自分は海外に移住したいのか、その理由をまずは考えてください。
お金のためという理由は、すごく弱いです。
お金のためなら、日本にいた方が安心できます。
そして、海外移住するのなら、事前の調査や体験が必要です。
移住は人生において大きなイベントです。
若い方なら、何度でも挑戦できますが、高齢の方は何度でもというわけにはいかないでしょう。
だから、移住する前にしっかりと計画をして、可能ならお試し移住をしてください。
お試し移住って何?と思われた方はこちらの記事をご覧ください。